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釧路地方裁判所網走支部 事件番号不詳 決定

主文

本件請求を棄却する。

理由

(本件付審判請求の要旨)

請求人は、

「被疑者鈴木弘、同横畠典夫の両名は、昭和三五年四月二五日ころ、釧路地方裁判所に裁判官として勤務し刑事裁判等の職務に従事していたものであるが、両名共謀のうえ、その職権を濫用して、両名が陪席裁判官として関与していた請求人及び種市繁勝、熊倉正春に対する昭和三二年(わ)第二六四号強盗殺人被告事件につき、昭和三五年四月二五日言渡した判決の判決書中に、真実は、請求人においては同事件の被害者である運転手高橋義夫の殺害につき、共謀した事実がなく相被告人であつた種市に脅迫されて自己の生命身体を守るためやむなく被害者の左頸部を登山ナイフで突き刺すに至つたものであるのに、あたかも請求人が同人等と共謀して被害者を殺害したかの如き事実を認定事実として記載する等、ことさらにその認定に反する種々の虚偽の事実を記載して請求人を無期懲役に処し、もつて自己の職務に関し虚偽公文書を作成し、同日ごろ同裁判所において同事件の訴訟記録に右内容虚偽の判決書を編綴せしめて、これを行使するとともに職権を濫用して請求人に違法な刑罰を科して義務なきことを行わしめたものである。」

との事実をもつて、昭和四二年三月一八日付にて被疑者両名を釧路地方検察庁に告訴したところ、同検察庁網走支部検察官は、これを昭和四二年七月一九日付にて不起訴処分に付し請求人は、同年同月二〇日その旨の通知を受けたのであるが、右処分に不服であるから、右事件全部を管轄地方裁判所の審判に付することを求めるため、本件請求に及ぶ。

(当裁判所の判断)

一件記録によれば、請求人が昭和四二年三月一八日付で鈴木弘、横畠典夫に前記犯罪事実があるとして同人を釧路地方検察庁に告訴した(告訴の対象とした事実は必ずしも明らかでなく、請求人は、刑法第一五六条、第一五八条、第一九五条等を罰条として掲げているが、その趣旨を善解すれば、前記のごとき事実にて告訴したものと思料される)ところ、同事件はその後、同検察庁網走支部に移送され、同支部検察官検事金森久が、同年七月一九日付で「嫌疑なし」として不起訴処分に付し、請求人は同月二〇日その旨の通知を受けたので同月二六日付で、本件付審判の請求書を同検察庁に提出したことが認められる。

ところで、刑事訴訟法第二六二条第一項により、付審判請求のなしうる事件は、同項掲記の罪に限られるところ、請求人の主張する虚偽公文書作成同行使の罪はそれに該当しないことが明らかであるので、その点については、右の要件を欠き、不適法なものといわざるを得ない。

そこで職権濫用についてのみ本件付審判の請求の当否について判断するに、被疑者両名に請求人のいうがごとき犯罪を犯した嫌疑のありやなしやを問うまでもなく、右被疑事件はすでに(昭和三八年四月二四日ころ)公訴時効が完成しており、もはや適法に公訴を提起しえないものであるから、被疑者両名に対し、公訴を提起しないとした検察官の処分は結論として正当である。

よつて、本件付審判請求は、虚偽公文書作成、同行使の点について不適法であり、職権濫用の点については理由がないので、いずれも刑事訴訟法第二六六条第一号を適用して、これを棄却することとし、主文のとおり決定する。

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